11月になったと思ったら突然日本に低気圧が襲ってきて、急に寒く淀んだ空気と雨に見舞われておりますね。みなさん体調お大事にしてください。2021年ももう6分の5が終わったと考えるとあっという間すぎて震えてしまいます。師走になったら本当にスルッと一年が終わってしまいそうなので今月を大事に過ごそうと誓っています。でもそれを言っている今はもう上旬の暮れなんだよな~ たすけて~
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さて、11月9日からインターネットで開催されているBMSイベント「THE BMS OF FIGHTERS XVII -VISION THE RETRO FUTURE-」に作品を出展しました!
BMSというのはパソコン上で動くフリーの音楽ゲーム用のメディアフォーマットで、楽曲音声データ・画像動画などビジュアルアニメーションデータ・音楽ゲームの譜面データの3つのデータが集積したフォーマットです。また、THE BMS OF FIGHTERS(以下BOF)は毎年一度開催されるBMSにとっての大型イベントであり、一度の開催で300~600もの数の作品が世界中の作家から登録されるイベントです。
rumuがBOFに作品を出すのは2012年に始まり、今回で8回目になりますね。
さてBOFというのは個人で参加できるイベントではなく、複数人でチームを組み、チームで複数のBMS作品を出展するルールのあるイベントです。
今年は「[Clue]」という国際チームにお誘いいただき、過去の作品制作で知り合った方々のアメリカ・フランス・韓国・日本を中心とした少人数でDiscordサーバーに集まってコラボレーション形式で作品を作る貴重な経験をさせていただきました。おかげで英語のテキストチャットが少し達者になった気がします。ラフな英語なので仕事で使ったら怒られるのはまちがいないですが(だめじゃん)
チーム内チャットではたどたどしい英語ながらお互いジョークなどで笑い笑っていただきながら和気あいあいと制作が進んで本当に楽しかったですね。都合が付けばまたみんなで何か作りたいものです……
作品について
アメリカNYのBilliumMotoさんとの共同制作で1曲、韓国Sobremさんとの共同制作で1曲の2作品を制作しました。Youtube動画を掲載するのでこちらで曲と映像を御覧ください:
なおチームからは4曲出展されており、他の2作品もすばらしいのでぜひチェックしてみてください。
『A Gleam for the Sightless』 https://youtu.be/iw3t3CROxiI
『self-dissociation』 https://youtu.be/Vbqq5v0VyjY
作品制作の楽曲部分に関しては合作相手が(界隈では言わずと知れている)達人級の腕前を持っている方々だったのでなんだか巨人の肩に乗った気分で自分はちょこちょこと熱量を曲に加えたような認識です。
Random: 今年5月にSobremさんから楽曲のスケッチが送られてきた段階で完成バージョンの8割方の楽曲展開(歌・ベース)が仕上がっていたので「これ以上ぼくは何をしたらいいんだ…?」と思いながらハーモニー・短いソロ・Foleyサウンド・電子音・飛び道具その他諸々を楽曲に加えさせていただきました。Sobremさんが生演奏できる楽器の打ち込みや録音にめちゃくちゃ強く、いっぽう私はどちらかというと電子音ばかり普段使っている作者でしたので、生楽器は彼に任せてわたしは素直にいつものシンセを入れようと思って作業していました。脳のなかのJacob野がすごく発達した気がします。どこ?
Harkiadelさんのすばらしい映像アニメーションに感激しました。どんな映像がつくのかな~と作曲側はまったく想像できなかったのですが、コラージュ形式を選択されたのがお洒落すぎて唸り、アニメーションと素材のちょっとクスッと笑える使い方にまた唸り、達人の仕事を見せていただきました。すごすぎる~!
BMSの音楽ゲームとしての譜面では、ランダム機能を使って楽曲最後の部分のソロパートが7種類に分岐するように制作しました。つまり上の動画で聴けるソロ以外に6種類の鍵盤ソロがあります。遊んで聴いてみてください(ソロの原曲も探してみてね~!!)。
それ以外にもランダムにして成立しそうなものはいっぱいランダムにしました。TOTAL値(BMSを遊んでない方にはなんのことかわかりませんね)すらもランダムなので、ボーダー落ちしたら運が悪かったということでここは一つ(?)
Sense: BilliumMotoさんの発想力に助けられて無事完成した作品です。制作の初動が結構遅れてしまったのが申し訳ない……
当初は4/4拍子のDubstepの予定だったのですが、BilliumMotoさんのイントロのメロディ初案を私が聴いて、これはよりストーリー風味に仕上げたほうが映えるかもしれないと思って3拍子に転換して後半メロディを追加したところからSenseの実際の制作が始まりました。
イントロが暮れて0:50から1:18くらいまでの仮の音を私が付けて、プロジェクトファイルを彼に渡したら、ほぼ9割くらい曲が最後まで完成した状態でパスが返ってきました。そんなことある?強すぎるだろ 相手が偉すぎるよ~ぼくも何もしないわけにはいかない……はて……と思いながら残り1割加えられる音をがんばって探して全体に編曲に彩りを加えてみました。
結構ギリギリまで音を追加したり、BMSへの変換にあたって追加作業が発生したり、10月の暮れの忙しい季節にBilliumMotoさんに負荷をかけてしまう結果になって少しごめんなさいの気持ちがあります。初動をもう少し早くするべきだった~!
映像のmahiniiさんにはこちらから声をかけて制作をお願いいたしました。寝耳に水のご依頼だったと思われるので制作を快諾してくださったこと大変ありがたく感じておりました。
私のわがままでギリギリまで映像制作作業を頑張らせてしまって申し訳なさもありつつ、おかげさまですばらしい作品に仕上がって何よりでした。イラストも素敵…… 1:52からのシーンはすごくmahiniiさんらしくてお気に入りです。
BMS譜面については私は低難易度譜面3つの監修をしました。とにかく叩いてて自然で楽しい配置にしようと心がけました。サビの縦連打地帯が特にお気に入りです。
BOFで私にできること
BOFに出展されて話題となった楽曲が、大会とは無関係の商業音楽ゲームに勧誘・収録されるケースが2014年ごろから出現し、いまではそういうムーヴメントが企業・ユーザー側にあることが周知の事実となっており、私も例にもれず一部の楽曲を商業ゲームへ収録いただいたことがあるという経緯があります。界隈全体で見ると、そろそろ100曲以上BMS由来の楽曲が世に出ているのでしょうか……? そのような背景があり、BOFにBMS作品を出展することの意義が毎年よくこの季節になるとTwitterでステートメントの題目になっていることがあります。
さまざまな要因があり、BMSをBMSのまま音楽ゲームとしてきちんと遊んでいる人は音楽ゲームのファンベースの中では実際には少数派になっているのかもしれず、「BOFはもはやただの映像音楽イベントであり、BMSのゲーム譜面なんて遊ぶひとはほとんどいない」とまで考える方もいらっしゃいます。
このような商業化的なムーヴメントのほか、BOFの近年の参加者の国際化もあり、20年以上前から続いていた国内由来のBMS文化、暗黙の了解がBOFを通して形を変えているのは間違いないですね。ただ、そういったなかでも変わらないものはあり、音楽と映像(視覚)、ゲーム譜面(運動)のマッチによる相乗効果がゲームとして楽しいという素敵な体験を生むというプリミティブな部分はいつの時代でも楽しむことができるものです。
一参加者としてできることは、BMSを真摯に作り、今まで通りひとの作品に触れ、原始的な楽しさを忘れず、得たインスピレーションを次の作品・次の世代に継ぐという、これまでと変わらないことです。願わくばBOFないしBMS制作が、こうした創作の相乗効果の体験を見つめ直すことができる空間である状態がこれからの未来でも続いてほしいですね。そうした状態を保つためにも、まずは自分がしっかりその目標を心のなかに留めておこうと思います。
結びに
自分は青春時代を音楽とBMSに費やしたような人間なので、創作の哲学や内省思考が歴年のBOFの体験のなかで育ってしまいました。いいこともあれば悪いこともあったとは思いますが、今の私にできることはここで得られる音楽体験と創作哲学の自由なアイデアを実際にアウトプットして次の世代にインスピレーションとして引き継ぐことなのかなといまは思っています。
なにかこのような発想を来年は具体的に形にできたらいいですね。このようなことを言っているといつまでも音楽制作がやめられず、生活に負荷がかかったりゲーム制作がはじまらなかったりしそうですが……そういうこともあるだろうまあ(おい!)
なにはともあれ、健康にこれからも作品をゆっくり作っていけたらいいですね。呑気にSplatoonを遊びつつ、来たる2022年のゲームたちを楽しみに毎晩の自由な時間を過ごしていきたいと思います。というわけで、naganerumuブログの最初の記事でした。これからよろしくお願いします!